運動は幸せ観を・・・

 運動がカラダに良いことはなんとなく分かっていても、億劫になって、三日坊主になっているケースが多いと思います。 実は運動には脳にも良い効果をもたらすことが分かっています。。

 休みの日はずっとソファーでだらだらしているような生活をしていると、認知症の発症リスクが高まります。運動すると、脳が刺激を受け、神経を成長させるBDNF(脳由来神経栄養因子)というタンパク質が多く分泌され、神経細胞が活性化しやすくなるとされています。。

もう一つ、運動をすると脳内ではエンドルフィンという幸せ感を呼び覚ます脳内ホルモンが発生します。このエンドルフィンによって、高揚感を感じます。 。

辛い筋トレや辛い運動を終えた後、疲れと同じくらいの達成感や高揚感を感じませんか?それはエンドルフィンが発生している証拠です。エンドルフィンの発生により、モヤモヤしていた気分もスッキリ。運動には、頭がスッキリする効果もあるのです。

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 運動とは、神経細胞を増やす行為

  「運動不足は身体によくない」とわかっていても、忙しい、時間かないと、ついつい先延ばしにしてしまうという人もいるかもしれない。そういう人にぜひ知って欲しいのが、ある高校で実証された驚くべき運動効果だ。

 アメリカーイリノイ州のネイパーヴィル学区。その高校は、どちらかと言えば、あまり成績優秀とはいえない学校だった。ところが、ある型破りな体育教師が毎朝「ゼロ時限体育」と称して生徒にトラックを走らせたり、ランニングマシーンやエアロバイクで運動をさせるようにしたところ、全米が注目するほど飛躍的に成績か上がったのだ。

 TIMSS(国際数学・理科教育動向調査)のテストでは、理科は世界第一位に、数学は第6位に躍り出たのである。  今では、全米に広がっている「ゼロ時限体育」の授業風景には、ある特徴がある。

 生徒たちはみな心拍数を測る心拍計をつけてトラックを走ったり、ランニングマシーンやエアロバイクで運動をしている。そして、褒められているのは、いかにも運動の力の高そうな、さっそうと走っている学生とは限らない。むしろ、運動が苦手そうな生徒が「Good!」と褒められていたりする。

 彼らが目指しているのは、長く走ることでも、早く走ることでもなく、本人の最大心拍数の80~90%で運動すること。褒められていたのは、それを達成した学生たちだったのだ。

 学習や記憶を司る海馬には、神経細胞の生産に不可欠な「BDNF(脳性神経栄養因子)」という物質が存在している。BDNFは加齢やストレスで減少し、新しい神経細胞が作られにくくなっていく。

運動能力の優れた人でも、そうでない人でも、最大心拍数の80~90%を超えると増加する。つまり、運動は体力を増強するだけの行為ではなく、脳細胞を作り出す行為でもあったのだ。  

人間は「走る」ことで進化

メキシコの秘境で暮らすタラウマラ族は岩だらけの峡谷をゴムサンダルだけで一昼夜でも、100キロでもいとも簡単に走り切ってしまう「走る民族」が米国のメジャーな「トレイルランレース」に出場し、ぶっちぎりで優勝した後、表舞台から消えたという伝説めいた事実もあった。

そこで、著者がメキシコの秘境へ向かうと、タラウマラ族には、腰痛やヒザ痛になる人間などひとりもいないし、そんな言葉さえ存在しないことか分かった。

 人類が弓矢を発明したのは2万年前、槍を発明したのは20万年前だ。では、それ以前はどうやって狩りをしていたかというと「走り殺していた」というのだ。

 短距離では動物にかなわないが、長距離となれば話は別だ。人間以外の動物のほとんどは、「発汗」という冷却システムを持っていない。そのため、約40キロも追えば獲物はすっかりオーバーヒートしで疲れ果てる。そこを狙って狩りをするというわけだ。

 人類の「二足歩行」も、体毛をなくして得た「発汗」という冷却システムも、生き抜くため、長距離を走るのに適応するための進化だというのである。

一見、荒唐無稽な説のようだが、「人がマラソンを走り抜いたときに感じる達成感は、獲物をしとめた時の達成感の名残だ」という説には、妙に説得力かある。

重力に逆らって歩こう 

   筋肉量は20歳頃にピークを迎え、加齢にともなって徐々に減少していく。40代まではゆるやかに減少していくが、50歳を超えると急激に減少しはじめる。

普通に生活していても年に1%の割合で減少すると言われるから、10年で10%、20年で20%減少することになる。完全に寝たきりになると、わずか一日で筋肉量が1%落ちるとも言われている。

 ただ立っている、歩いているだけでも重力に逆らうための筋肉「抗重力筋」が緊張し、筋トレになる。全身の血流がよくなり、頭にも新鮮な血液と酸素が送られる。

 アメリカでは、「スタンディングーミーティング」といって、立ったまま会議をする会社か増えているという。

立ったままのほうが全身の血流がよくなり、脳にもたっぷりと酸素が届く。そのため、座った状態よりも集中力か高まり、よりよいアイデアも出るというわけだ。

運動習慣の驚くべき効果

ある習慣を持っている人の脳の中には、特に「頑張ろう」と自分を鼓舞しなくても、それを毎日やすやすとやり遂げるための太く強い神経回路が作られているそうだ。

その神経回路が作られるまでには、1週間ほどかかると言われている。  逆に言えば、最初の1週間は毎日「実行するか、やめるか」という気持ちで揺らいでいて、いつやめてもおかしくない。

「実行できなかった」といったネガティブな感情は、「実行できない人間だ」という悪い「セルフコンセプト(自己概念)」を作り出し、本当に実行できない人になってしまう。

米国ギャラップ社の調査によれば、週に2日以上運動している人は、運動していない人に比べて圧倒的にストレスが少なく、幸福度も高いという結果が出ている。

 運動する日が1日増えるごとにエネルギーレベルが上がり、メリットが最大になるのは6日目だそうだ。つまり、6日目の幸福度がどんなものか知っているのは、6日間続けた人だけなのだ。

運動と脳、幸せ観

 スウェーデンのイェーテボリ大学の研究グループも、運動と脳、幸せに関する非常におもしろい研究を行っている。  被験者は、18歳の時に兵役登録の身体検査とIQテストを受けた、1950~76年に生まれた男性約120万人。

彼らのその後の人生を追跡調査したところ、IQテストの成績ともっとも強く関連していたのは、なんと心肺機能だった。

つまり、運動をして心肺機能か優れている人ほど、IQも高いことかわかった。 さらに興味深いことに、心肺機能か優れている人ほど、学業達成度に優れ、その後の学業達成度も高く、社会的・経済的にも成功しているケースか多かったそうだ。

参考文献:『ごきげんな人生は10年長生きできる』 坪田一男 著 文藝春秋    

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