利他的動機を・・

 他人のために行動することを厭わず、惜しみなく与えることができる人(ギバー)は、当然ながら他のタイプの人に比べて感謝されます。

人は自分に対して親切な対応をしてくれる相手を信頼する傾向があります。感謝は目に見えるものではありませんが、感謝されることでまるでお金を貯めるように信頼を蓄積していきます。

常日頃から感謝される行動が取れる人には、自然と信頼が集まるようになり、自ずと自身が困ったときに周囲の人たちが助けてくれるようになります。

真のギバーは親切なことを相手にしても見返りを求めません。相手からも恩着せがましい印象はなく、ただただ感謝の念を抱くでしょう。ギバーは、相手の成功や成長を心の底から望んでいるため、見返りなどを求めない傾向にあります。

 他人からも信頼されやすいため、成功を収めやすいと言えます。 部下や後輩などを育てる立場にある管理職の方であれば、ギバーのマインドを持つことが重要です。

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あなたの行動がまわりを変える

誰かに微笑みかけることは、いったいどういう意味があるのだろうか。たとえば、廊下で同僚とすれ違う時、軽く会釈をするだけで通り過ぎることもできる。しかし、同僚に笑顔を見せたらどうなるだろう。

不意にすれ違って喜んでいるという感情を相手に伝えることはできる。ほんの短い間に、温かい感情と仲間意識が伝わることになる。もちろん、そんなものを伝える義務はない。誰もそうしろと強制することはできない。

しかし、もしあなたが自分の意志でそうすれば、同僚は微笑みを返してくれるかもしれない。あなたが伝えたのと同じものがあなたへ返ってくるわけだ。職場で礼儀正しくあるためには、微笑むだけでは不十分で、他にも必要なことはたくさんある。

なぜ与える人ほど優秀なのか

「この競争の激しい世の中で、貴重なリソースを他人に分け与える余裕などあるはずがない」と言う人はいる。「あまりに理想主義的だ」と思う人もいるだろう。

他人に何かを与える人には、与えない人よりも心が豊かになる。自分の持っているものを他人に与えてしまうのは、無駄に思えることが多いかもしれない。

たとえば、あなたは営業職だとする。自分の売上目標の達成と、より安い価格を求める顧客の二―ズのどちらを優先すべきだろうか。ギバーなら、顧客のニーズを優先する。あなたが医学部生だとしたら、常に自分のことだけを考え、自分の勉強に集中するか?

 または、困っている友人の手助けに時間とエネルギーを割くか? どちらかだろうか。「与える人」なら自分の時間を犠牲にしても友人を助ける。面白いことに、営業職を1年間続けた場合、他人に多くを与える「気前が良い」入ほど、多くの収益もあげることを分かった。

与える人が手にするメリット

なぜこのような結果になるのだろうか。ここでは次の2つのことが大きな要素になっている。

1つは、周囲の人たちと深く広い人間関係を築き、時間が経っても損なわれなることなく、長期的には大きな成果につながる。自分のリソースを他人と共有することで、自分の存在に意味を感じることができ、目的意識を持つこともできる。

2つ目は、何かを成し遂げるために必要な強いエネルギーがその人の中に生じる。自分の他人に対する貢献が重要であると感じていれば、苦しい状況になっても、簡単に挫けることはない。

言いにくいことを言いやすくする工夫

とはいえ、「悪いこと」はなかなか言いにくいものである。だから、「こうしたら、今からあなたの欠点を指摘するよ」という合図を決めておく。というのもそのひとつだ。

例として、ジョンソン.エンド・ジョンソンでは、何か不愉快なことを誰かに直接、伝える必要ができた時には、会議室の棚からぬいぐるみのヘラジカを取ってきて、テーブルの上に置くことになっている。それが、「今からは、耳の痛いことを遠回しにではなく、遠慮せずそのまま話します」という合図となる。

そうすることで、一種の「安全地帯」を作り出すということができる。その安全地帯では、相手にとって不愉快なことでも安心して話すことができる。

いい成果を上げるには

一方で、一人ひとりの社員が何かいい成果上げたことに気づけば、それを細かく分析していくことも重要だ。そうすれば、現在の自分に自信を持つことができるし、これまでの努力を続ける気持ちにもなれる。自分自身が良い仕事をしている人ほど、周囲の人間の良い仕事ぶりに気づきやすいという傾向もある。

高い業績をあげているチームは、平均的な業績のチームの実に6倍も肯定的なフィードバックをしているというデータもある。また反対に、業績の低いチームは、平均的な業績のチームの約2倍も否定的なフィードバックをしているというデータもある。

ギャラップの調査では、マネージャーが部下の長所ばかりを指摘する企業では、全社員の67パーセントが「自分は全力で仕事に打ち込んでいる」と言っている。

良い仕事をすると褒められる、褒められるからまた努力し、さらに大きな成果をあげる。このように「ポジティブ・フィードバック」を起こすには、早く褒めることが大切である。良い仕事をしたことがわかれば、できるだけ早いタイミングでそれを褒めるのだ。

必ずチーム全体で共有

そして大事なことは、チームのメンバーに何をしてほしいか? 何をやめてほしいか、そして何を続けてほしいかを明確にしておくことだ。各人がすべきことは何で、またそれをするよう促すのにどうすればいいかを把握する。把握できれば、その情報を皆で共有する。

フィードバックが真に価値あるものであれば、フィードバックを受ける側になる相手をよく知ることだ。そしてフィードバックを受けた時、彼、彼女がどういう感情になるか? フィードバックするとき、どういう理由があるのかを受け手に十分に説明する。大切なことは、率直で正直でなくてはいけない。

フィードバックを与える際、重要なのは、常に未来に目を向けることだ。最終的には、その人がこの先、前進するためにどうすればいいのかがわかるようにしなくてはならない。工夫次第でそれをさらに強力で効果的なものにすることができる。

人の心をつかむには、成果を必ず、認め、褒め、努力、やる気、報いる姿勢を見せる必要がある。一人ひとりのサクセスストーリーを必ずチーム全体で共有するようにする。物事が前に進んでいることを皆が認識し、皆が自分のいる意味を感じられることも大切だ。

リーダーがチームのメンバーの心をつかめば、職場からは無礼な態度がなくなり、皆が仕事に打ち込み、業績も向上するだろう。 リーダーが必要に応じ、自分の時間とエネルギーを惜しみなく注ぎ込むことが重要だ。

参考文献:『Think Civility 礼儀正しさこそ』 クリスティーン・ポラス 著 東洋経済新報社  

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