言霊を意識

 昨今はSNSやブログなど、インターネット上における「発信」のツールが普及し続けています。個人が自分の言葉を「気軽に発する」という土壌が、すでにできあがっているようです。

他人とのコミュニケーションにおいて、清らかで美しい言葉や、明るく前向きな言葉を使うことは、人を幸せにする力を持っています。 素敵な言葉は「美しい心」から生まれるものですが、逆に言えば、美しい言葉も「素敵な心」を育ててくれるものです。

何気ない言葉や挨拶の交わし合いでも、幸福の種を蒔いてゆくことはできます。「ありがとう」「ごめんなさい」「いただきます」「ごちそうさま」「いってきます」「いってらっしゃい」「ただいま」「おかえり」「気を付けてね」「お疲れさま」「おかげさまです」 人を思いやり、自分自身を大切に、発する「言霊」。

それらは、必ず多くの心を守り、育て、導いてくれるでしょう。

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言葉力を鍛える

私たちは日常生活の中でコミュニケーションをとるため言葉を使います。その言葉が私たちの人生にどのくらい大きな影響を与えているかを、意識したいものです。

言葉は、私たちの人生を幸せで豊かなものにする力をもっています。しかし、私たちの感情を左右したり、他人を傷つけたりする力ももっています。ですから、武士が刀の影響力を自覚していたように、私たちも言葉の影響力に注視して使う必要があるのです。

いつも攻撃的・批判的な言葉を発していると、考え方も攻撃的・批判的になって、戦う人生になってしまいます。さらに悲観的な言葉を使っていると、何ごとにもマイナス思考で考えるようになり、人生に対して消極的になってしまいます。

あなたの考え方のパターンは、あなたの潜在意識に定着しているものなので、意識しただけでは、すぐに変わらないかもしれません。

まず、言葉から変えていくようにすればいいのです。思考パターンはすぐに変えられなくても、言葉は、意識することで変えることができます。

いつも明るい言葉や感謝の言葉を言うようにすれば、プラス思考の回路が定着して、前向きな生き方ができるようになるのです。

否定形より 肯定形

「頑張らないと結果が出ない」(否定形)と言うのと、「頑張れば結果が出る」(肯定形)と言うのでは、ずいぶんイメージが違います。

どちらも頑張ることの大切さを言っている言葉でありながら、前者の言葉からは「頑張ることができずに結果を出せない自分」をイメージしてしまいますし、後者の言葉からは「頑張って結果を出している自分」をイメージします。言葉はイメージをつくります。

疑問を言葉にするときも、「どうしてうまくいかないんだろう?」と言うよりも、「どうしたらうまくいくんだろう?」と言うほうが、うまくいくイメージができるのでワクワクしてきます。同じ意味の言葉でも、否定形ではなく肯定形にすることで、肯定的なイメージが湧いてきて、頭も活性化してくることでしょう。

被害者的言葉より 主体的言葉

会社に行くときに「今日も会社に行かなくちゃいけない」と言うと、 自分が被害者のような気持ちになり、さらに愚痴や不平も言いたくなりますね。

本当に嫌ならば、会社に行かないという選択もできるはずです。 しかし、そんなことをしたら自分が困ってしまう、と判断し会社に行くことを自分で選んでいるわけです。

であれば、「今日も会社に行くことを私は選ぶ」と言い換えてみるのです。すると、「自分の人生は自分で選んでいるんだ」という主体的な発想に変わってきます。

悪口より ほめ言葉

人の悪口を言うとき、私たちはその人の問題点や欠点にフォーカスしています。そして、その悪口をいつも自分の潜在意識に聞かせていると、私たちは自分自身の問題点や欠点にもフォーカスするようになってしまいます。

その結果、劣等感や自己嫌悪に悩まされます。このことを知らない人が多いようです。人の悪口を言うことが自分にどんな影響を与えるのかを知っていたら、誰も人の悪口など言えなくなってしまうでしょう。

それをやっていると、自分自身の美点や長所にもフォーカスするようになってきて、自分が大好きになってくるのです。

その他、「日ごろから自分自身にどんな言葉を聞かせるとよいか」を考えて、その言葉を口ぐせにするよう工夫してみてください。

謙虚な姿勢で生きたいと思うなら、「してあげる」という言葉よりも「させていただく」という言葉を使うのを習慣にするといいと思います。また、感謝力を高めるには、「ありがたい」や「ありがとう」を口ぐせにすることも大変有効です。

言葉に魂を

ここでもう一つ、言葉力を鍛えるうえで、とても大きな原動力になる"言霊"という考え方です。古来、日本では「言葉に魂が宿る」として、それを言霊と呼びました。

「言葉はバイブレーションを発していて、その言葉自体を実現するエネルギーをもっている」という考え方です。「言葉は、そのエネルギーの波長と同類の出来事を引き寄せる」という言い方もできます。

「刀は武士の魂」と考えて、武士が刀を大切にしたように、「言葉に魂が宿る」という自覚をもつことによって、私たちは、自ら発する言葉を心から大切にするようになるのではないでしょうか。

参考文献:『心眼力』 野口 嘉則著 サンマーク出版

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