人生を変えた言葉

人の行動には「成功しようとする行動」と「失敗を避けようとする行動」がある。  成功志向の動機が強い人は、成功したとき、その理由を自分の努力のたまものと考え、失敗したときはその逆に、努力不足が原因だと考える傾向がある。

一方、失敗回避の動機が強い人は、成功しても、その原因を特定せずに運まかせのように考え、失敗したら自分の先天的な能力不足を理由にする人が多い。

 また、努力する方法が間違っていれば、成果は思うようにならないケースがあります。その方法を正しく規定し、その手順どおり実行し、実行した後で必ず結果を検証する。そして、次回その検証を参考にし、実践することを続ければ、目標とした以上の成果は実る。

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フランク・ベトガーは米メジャーリーグ、セントルイス・カージナルスでサードという大事なポジションを守っていた。優れた野球選手たちと同じチームのメンバーとして野球をしていた。 それからいきなり、なんの前触れもなく、その夢は破裂してしまった。

シカゴで、ある日の試合中にボールを投げたとき、肩でプツッと何かが切れる音がした。そして、夢もそこでついえてしまったのだ。 その後、生命保険の営業マンとなったが、8年間もプロ野球選手をした私に、生命保険の営業はなかなかしっくりこなかった。最初の一年間は、ほとんど毎日、本気で辞めようと思った。そして10か月後、本当に辞めざるを得なくなった。

そのためしばらくの間、町をうろついて求人情報を見つけては応募した。しかし、学歴もビジネスの経験もないため、誰も雇おうとしなかった。 がっくりきた、という程度ではなかった。絶望の深みにはまっていた。そしてある朝、たまたま自分のデスクに置き忘れた私物を引き取りに、クビになった保険会社に立ち寄った。 そこでは保険代理店会議の真最中で、まったくの偶然だったが、社長のタルボットが発した一言を耳にする。

それが私の人生に、永久に消えない効果をもたらした。その一言とは、以下のようなものだ。 「諸君、営業の仕事とは、詰まるところ、ある一点に集約される。ある一点だ。つまり、人に会うことだ! ごく普通に能力のある人間が営業に出て、毎日4、5人に会って熱意を持って話してごらんなさい。うまくいかないわけがない。」

 この一言を聞いて、営業の仕事をやり直す気になった。 そして、それから次の10週間で、過去10か月に売った保険よりも多くの保険を販売したのだ。もっとも、保険獲得数としては大した数ではなかった。それでも社長が真実を語っていたことがわかった。 私でも売れるのだとはいえ、つい安易な方法で電話だけで事をすませて、お客様へ出向き営業しようとしない悪いクセにすぐ戻ってしまった。

野球の世界では、「球が見えなければ打てない」と言われる。 そういう意味では、自分に今あるチャンスをつかめないようでは、会社はまたまた使い物にならないと私をお払い箱にするだろう。 ある日、会社から一通の通知書をもらった。給料をもらうどころか、諸経費として会社に478ドルの借りがあったのだ。私は揺さぶり起こされた。

そして、ある土曜日の午後会社へ行き、小会議室に自分を閉じ込め、そこで3時間一人きりで自問した。 「このままじゃだめだ。」「なにがいけなかったんだ?」 はたと、その数週間前、ある雑誌で読んだ記事のことを思い出した。ものすごく刺激になった記事で、大切にしまっておいたものだ。自分のデスクへ行った。しまっておいた記事は引き出しの底にあった。

2万5000ドルのアイデア

ある日、アイビー・リーという名のコンサルタントが、ベツレヘム・スチール社社長、チャールズ・シュワブと面談していた。リーは、シュワブに自分の会社のサービスの概略を説明し、このように結んだ。「弊社のサービスをもってすれば、より良い経営ノウハウが得られます。」 「バカらしい。」シュワブは言った。

「経営ノウハウを知っているだけでうまく経営できるものではありませんよ。我が社に今必要なのは、もっと"知ること"ではなく、もっと"行動すること"なのだ。"知識"じゃない。"行動"なのだよ!

我々はどうすべきか、とっくに知っていることをビシっと徹底させる何かを君が教えられるなら、喜んで耳を貸すしお望みの代金をお支払いしますよ!」 「わかりました。」リーは答えた。

「20分いただければ、少なくともあと50パーセントはあなたの行動を引き出す方法を教えてさしあげられます。」 「いいだろう。」シュワブは言った。

「さっそくやってもらおうか。電車に乗り遅れるわけにはいかないから、あと20分くらいしか時間がないのでね。」 リーは、ポケットから一枚の白い紙を取り出し、シュワブ氏に渡して言った。「この紙に、あなたが明日しなくてはならない最も重要な6つの項目を書き出してください。」

シュワブ氏が書き出すのに3分を要した。「さて。」とリーは言った。「重要度の高い順に番号をつけてください。」 リーは続けた。「この紙をポケットにしまって、明日の朝一番で一番目の項目を確認して仕事をはじめてください。そして、完了するまで続けてください。それが終わったら、同様に2番目に取りかかってください。それからさらに3番目へ、という順に進めてください。

帰る時間まで一日中続けてください。 ほかの仕事が一つか二つしかできないなどと心配しないでください。あなたは最も重要な仕事に取り組んでいるのです。そのほかの仕事はまだ時間の余裕があります。 この方法ですべてをやり終えることができなければ、ほかのどんな方法でもやり遂げられないはずです。

それに、なにかメソッドがなければ、あなたはおそらく、どれが最も重要か、決めることさえできなかったでしょう。 平日はこの方法で進めてください。そして、このメソッドはそれなりの価値があるとご自身で納得なさったら、部下にやらせてみてください。あなたがよいと思われる期間、試してください。

その後、あなたのご判断でこのメソッドの価値に値段をつけて、私に小切手を送ってください。」 2人の面談はおよそ30分で終わった。それから数週間後、シュワブ氏はリーに、損得の観点から、これまで学んだなかで最も儲かるメソッドであると述べた。お礼の手紙を添えて、2万5000ドルの小切手を送ったのだ!

5年後、この方式の大いなる恩恵で、無名のベツレヘム・スチール社は世界最大の独立鉄鋼メーカーにのしあがった。そしてチャールズ・シュワブは億万長者になり、世界に名だたる鉄鋼王として知られるようになった。

チャールズ・シュワブのような、この世界で最も賢く、しかも実践的な自己管理のプロが、この方法は損得の観点からこれまで学んだなかで最も儲かるメソッドであると発見しているのだ。 フランク・ベトガーはそれを教訓にし、下記の実行プランを立て、全米ナンバーワンの営業マンになった。

1.必ず1週間の計画を立てる。
2.すべての進捗状況を確認し、目標達成のために実行しようと決意したことを実際に実行しているかチェックする。
3.個々の商談に合った顧客が買いたくなる実話を用意する。
4.翌週にXX件の商談をまとめる目標を立て、TELでアポを入れる。
5.翌週に実行することを決め、決意する。

最後に、「早寝早起きは学習する時間、仕事に必要なより高度な知識を修得する時間、じっくり考え抜く時間、休む時間、遊ぶ時間が持てた。私はこの時間なしには仕事の情熱を持ち続けることはできなかっただろう。」とフランク・ベトガーは語っている。

参考文献:「私はこうして全米ナンバーワンの営業マンになった」 著者 フランク・ベトガー

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