■ 「結果=Result」と「成果=Achievement」の違い

  「結果」と「成果」という言葉があります。一見したところ、よく似た言葉であり、ふだん両者の違いをほとんど意識せずに使っています。 それぞれの意味を再考してみましょう。

「結果」は
・すでに起きたことを記録している。
・客観的に測定可能である。
・週去の出来事で、もう変えることはできない。
・現実を表現している。
「成果」は 
・個人にとっての進展を表現している。
・個人にとって価値のあることである。
・過去の出来事だが、未来にも影響を与えている。
・「可能性」や「新しい見方」を作り出している。

, 野球の試合をした。「結果」から見てみると たとえば、野球のゲームを例として、「相手チームが5点とり、私達が3点とって終わった」場合に、その「結果」は「5対3」ということになります。 「結果」の世界において、「5対3」は何を意味するのだろうか。
たとえば、次のような解釈が生まれてくることだろう。

結果から生まれるもの、
・相手チームが勝って、我々は負けた。
・相手チームの方が我々よりも強い。
・我々は十分に戦えなかった。
・相手チームに勝てる見込みはないだろう。
・我々は運が悪かった。

この考えや発言は、呪文のように続き、思考はネガティブなものになりがちです。その結果、自分自身の力を過小評価して、自信をなくしていきます。 野球の試合をした。 「成果」から見てみると

「相手が5点とり、我々が3点とった」ということを明日につながる視点から、創造性を働かせて思考してみます。
成果から生まれるもの
・全力を尽くしたし、我々の力も捨てたものではない。
・チャリティーのための資金を稼ぐことができた。
・社員の団結力を強められた。
・何より楽しめたし、モラールをあげられた。

「成果」の世界では、ほとんど無限ともいえる表現が可能になる。比較する対象が自分と相手ではなく、自分自身となる。 この世界では、異なった視点の数だけ、異なった可能性が広がるようになります。

前の野球の試合の例でいえば、その人の組織(野球チーム)への想いが、さまざまな「成果」を生み出したことが分かります。 どのような「成果」が生まれたのかと考えることは、私達の日々の生活のさまざまな場面に適用できます。
こうして獲得した新しい視点は、現実に新しい意味を加えることになります。

リーダーは「未来語」を効果的に使うことで「成果」を語る。

「現在語」と「未来語」に優劣がないように、「結果」と「成果」にも優劣はないです。しかし、「結果」の世界にしか住むことができないでいると、将来の可能性を見落としてしまいかねないです。 誰でもが「結果」について語ることができます。
「成果」は、広い視野と確かな価値観を持つ人でなければ語ることはできません。その意味において、「成果」を語ることはリー!ダーの役割です。優れたリーダーと呼ばれる人達は、「未来語」を実に効果的に使っています。

アメリカの大統領候補のオバマ氏は"Change We Can Believe In(我々が信じることが出来る変革)"と訴えながら、未来語(Change)を上手に使用して、アメリカ国民の心をとらえています。
参考 「現在語」は固定された視点から対象をとらえることにある。
[未来語」は現実にとらわれずに可能性について語る言葉

自分を「結果」と「成果」で表現してみるとどうなるか まずはやってきたことを「結果」で表現します 「結果」と「成果」の違いをはっきりと意識することで、未来を作り出してみると。
まず、自分のやってきたことを「結果」で表現します。 就職する時に提出する履歴書や経歴書のような内容で、できるだけ具体的な表現で書き出してみると。たとえば、次のような表現になります。

・私は地区で最も優秀な営業マンだった。
・私は2人の部下を育てた。

あまり出てこないと思い悩まなくてもいいのです。誰でも何かの分野において、やり遂げてきたものが必ずあるものです。もし自分で思い浮かばなければ、周囲の人に尋ねてみてください。本人が気付かない「結果」が意外なほどあるはずです。

「結果」を「成果」へと変換します。

「結果」を一通り洗い出したら、今度はそれらを「成果」に変換してみます。 まず「起きたこと」=(結果)を表現し、それを「これから可能なこと]=(成果)へと変換します。下記の例のように、結果ではなく成果の視点で見ていくことで、未来を主体的に作り出していけるようになります。

[結果]:私は地区で最も優秀な営業マンだった。
[成果]:営業管理職のキャリアが開ける。
[結果]:私は2人の部下を育てた。
[成果]:部下の育成の経験を別のキャリアに活用できる。

結果より努力して得られた成果について、1980年の冬季オリンピック・レークプラシッド大会で驚異的な記録を達成したエリック・ハイデンは「結果は確かに良かったけど、そこに至る過程、いかに努力したかそしてベストを尽くしたことがもっと重要なんだよ」と述べています。
エリック・ハイデンは1980年の冬季オリンピック・レークプラシッド大会で、男子スピードスケートで500m、1000m、1500m、5000m、10000mの5種目すべてで金メダルを獲得しました。

参考文献:すごい考え方 著書:ハワード・ゴールドマン、中経出版