■ 一貫性の原理を営業日報の業務に活かす


  デパートの地下の食品売り場などでは、試食してもらってその食品を買ってもらうため、その売り場の前にくると、店員がすかさず「ご試食いかがですか?」と試食品を差し出されてつい食べてしまいます。「おいしいでしょうか」、「いかがですか?」と勧められて、「まぁ、味も良いし、試食して断るのも悪いしと思い」いつの間にか買ってしまていた。

こんな経験、2.3度ぐらいあるはずです。  日常生活において、思いがけず考えや発言と自らの実際の行動がずれてしまったことはよくあると思います。先の例において、当初、その食品を特に買う予定がなかったが、店員のお勧めと、味がよかったのでつい買ってしまっていたということがそれに当たるでのです。

 そのことは、判断したことや出した結論によって、自らを納得し、一貫した行動を取るという心理の働きによるものです。このように自分で決定を下したことを、一貫して通したい心理状態になることを、「一貫性の原理」と言います。

では、一貫性原理を営業日報など報告業務に適応してみましょう。

  まず、その日の始めに、今日はこういう仕事をやると決めて業務日報に書きます。 一日の行動をあらかじめ自分で決定してしまうことで、「自分が下した決定の正しさを信じたい」という心理状態をになります。そして、その仕事を億劫になって先送りにしようとしたりすることは、その心理状態に反する行動になってしまうので、あらかじめ自分で決定した通りに行動するようになります。

 なお、人から依頼された仕事だとしても、その仕事をスケジュールに落とし込むことで、自分の行動を自身で設定し自分で決定したという状態になるため、モチベーションアップにつながります。  また、業務日報やスケジュールを社内などに公開して共有しているならば、他の人にも一日の仕事を宣言することとなるので、より一層の拘束力が作用するようになると思います。
一般的には、人は「他人に自分の言葉や行為が一貫している」と思われたいものなのです。

リスクを早めに回避するために!

 あらかじめ「今日はこの仕事と昨日依頼されていることを行なう」とスケジュールを立てて行動するのと、タイムスケジュール無しにひたすら仕事をこなす場合に比べて、1日の時間をうまく使える比率が大きく変わります。
スケジュールを立てることは、事前にどの仕事にどれだけの時間を割り当てることが明確になるからです。何より先にスケジュールを設定してしまうことで、重要な仕事を先に片付けたり、先に仕事上の難しいことに気が付いてリスクを早いうちに見切ることなども可能になります。

 ただし、スケジュールを立てていても、優先度の高い緊急な仕事を依頼されたり、避けられない打ち合わせが入ることがしばしば起こるものです。
しかし、割り込みが発生したとしても、事前にその日の空きや他の仕事の進捗状況を把握しているため、いきあたりばったりで仕事をしているときに比べて、問題が発生して適切な判断で対処を行うことができるでしょう。

 例えば、日ごろスケジュールを立て段取りをしている人は、的確な状況判断ができるので割り込みなどの事態にも対応することができるのと同じことです。さらに、実際に業務日報を提出する必要がある人であれば、朝に決定した通りに行動できると、帰り際にスケジュールが頭に入っているので、日報を手際よく、正確に書くことができます。

業務日報(スケジュール)を書くポイント

 スケジュールとして業務日報を書くには、まずは一日の業務をすべて書き出します。 書き出すポイントは下記になります。

・どのような仕事をどういう方法で行なうのかを書きます。
・それぞれの仕事の作業時間を推定します。
・仕事内容を判断して、優先度を決定する。

 一日の業務を書き出した後は、優先度に従って順番に書き込んでいきます。ただし、過度に詳細に書く必要はありません。一日の行動のイメージができるレベルで書いておけば十分です。
一貫性の心理から先に一日のスケジュールを決定し、それを意識して行動することで、より一層仕事をスムーズに進めることができます。