■ 見える化

企業が競争力をつけるには、現場で発生するさまざま問題を自主的に解決していかなければならない。
どんないい企業でも、現場には問題が発生している。その問題が発生したとき、現場が解決しようとする体制になっているかどうかである。
業績の悪い企業は会社組織の欠陥から、問題を避けようとするか、または隠そうとする。

現場の問題を解決する能力を高めるためには、発生するさまざまな問題を解決しようとする意識を当事者に持たせ、また、現場業務に携わる全員が理解して参加する。 そして、競合に対する優位性を実現しようとする目標設定を行う。

その第一歩として、問題そのものを見つける力を持つ必要がある。
そのためには、問題の本質を認識することである。それをしないことには問題の解決はありえない。 問題を見えるようにすることで、解決に向けた取り組みが始まるのである。

具体的には、まず、現場や組織内で個人が発見した問題をオープンにする体制にする。それから、その情報を見えるようにして、現場や組織内、組織間で共有すべきものを整理する。 情報を網羅するだけで終わらせてはならない。

お互いがその情報を検索して、その情報から問題についてコミュニケーションをとりながら、問題を解決できるようにする。 こうしたプロセスを経て、各自が発見した問題点を組織全体で共有し、問題を解決することを継続させて、競争力を高めていくことが可能となる。

以上のことから、見える化とは、ヒジネス現場にあるさまざまな情報を関係者が素早く見つけて把握、共有して、問題の解決を迅速に行うことである。 業績が良い会社とは、見える化を改善しながら、問題解決が速い企業だといえる。

トヨタ自動車は「カンバン」方式で見える化を実現している。また「あんどん」という名称の仕組(問題が発生したとき警告を出す)は見える化をさらに進化させたものである。

「あんどん」が果たしている役割を見れば、見える化の本来の意味を理解できる。 自動車工場の生産ラインで問題が発生すると、問題を発見した作業担当者は「あんどん」を点灯させる。

これによって、発生した問題を隠すことなく、現場の全員で把握することができる。 現場の関係者の知恵によって、問題を解決するのである。

この告知、発見、解決する仕組は見える化の真髄である。


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