お客様へのITに関する提案において、お客様の経営、商売にどれだけ役立つのか、しばしば考えることがある。お客様からのヒヤリングと現在、コンピュータ使用状況や手書きで作成されている資料を拝見させて頂き、提案書の作成を行ってきた。
そのような状況だけで、お客様の会社の改善を指摘することは非常にむつかしい。また、その改善をするためには、システムの導入には予算以上の金額がかかることがあるので、ついつい中途半端な提案になってしまうことがある。
そのため、原点に戻り、ITC(ITコーディネータ)補試験へのチャレンジとその教材からIT導入の本質の勉強を思いたった。その教材のトップにITCプロセスの1つである経営戦略策定がある。経営戦略策定を実行するためには9つの原則がある。第1番目は顧客価値創造である。
「お客様のニーズ、ウォンツの変化を的確に捉えることによって、お客様が何を望んでいるかを理解し、お客様が満足できるような価値を創造する。」と定義している。
高度成長期では生産者の立場でものを作れば売れた。もの余りの情報化時代では、お客様の方が情報をもっている場合がある。ありきたりの商品では安くても買かわない。自分が納得して、気にいった商品は高価でも購入する。
この顧客価値創造の原則をないがしろにした経営は成り立たたない。
ただし、この原則を踏まえて商売を行うには、むつかしい難題が待ち構えている。たとえば、お客様のニーズ、ウォンツの変化を的確に捉えるにはどうするのか。単純に思いつくのは、アンケートをとり、その結果からニーズ、ウォンツを推測する。しかし、この方法はお客様のニーズが多様化している現在は質問の設定と分析がむつかしい。
セブンイレブンを驚異的に成長させた鈴木敏文社長は仮説をたて、仮説を売場で設定し、売れ行きからその仮説を検証した。そして、お客様のニーズ、ウォンツを掘り当て、それを踏まえて現場での商品の発注、品揃えを徹底した。その結果、1日の1店舗の売上平均は60万円台になった。他のコンビニは40万円台に留まっている。
この仮説をたてるには明日の天気や気温、地域の行事、さらにその地域の生活習慣や食生活について、さまざまな情報を集めることから始まる。集めた情報をきちんと分析することにより、はじめてお客様のニーズ、ウォンツに適応した商品の品揃えができ、売上、粗利益の向上のつながる。
以上のような経営戦略の策定を行い、お客様の貴重な情報をデータベース化し、多角的に分析することで、お客様のニーズ、ウォンツを推測して、商品の発注、生産計画にフィードバックする仕組みを作ることを心掛けたいものである。